
バデューシー(Badeucey)は、5枚の手札を2-7ローとバドゥーギの両方で評価し、ポットを半分ずつ分けるドローポーカーです。どちらの評価でもAは高いカードで、同じ手札を「5枚の2-7ロー」と「最良の4枚のバドゥーギ」で同時に評価するのが特徴です。この記事では、基本ルールと進行、2つの評価方法、スクープの仕組み、確率、両取りを狙う手札の形を、ハンド例を交えて解説します。
バデューシーの片方の柱であるバドゥーギのルールを先に読んでおくと、バドゥーギ側の評価がわかりやすくなります。ポーカー全体の種類はポーカーの種類一覧で確認できます。
バデューシーとは
バデューシーとは、5枚の手札を2-7ローとバドゥーギの2つの基準で評価し、ポットを半分ずつ分けるドローポーカーです。
名前は、バドゥーギ(Badugi)と2-7ローの別名であるデュース・トゥ・セブン(Deuce to Seven)を組み合わせたものです。英語ではBadeucey、日本語ではバデューシーと表記し、Badeucyと綴られることもあります。手札は5枚の1セットだけで、その5枚から、バドゥーギとしては最良の4枚を選び、2-7ローとしては5枚すべてを使って評価します。
どちらの評価でも「低い手が勝つ」点と、Aが高いカードとして扱われる点は共通です。一方、2-7ローではストレート・フラッシュ・ペアが不利になり、バドゥーギではスートとランクの重なりが使えなくなります。この食い違いが、バデューシーの難しさでもあり面白さでもあります。
バデューシーの基本ルールとゲームの流れ
ゲームの進行は、2-7トリプルドローとほぼ同じです。ボタン・スモールブラインド・ビッグブラインドの考え方はテキサスホールデムと共通で、共有カードはありません。
- ボタンを決め、スモールブラインドとビッグブラインドを支払います
- 各プレイヤーに5枚の手札が裏向きで配られます
- ビッグブラインドの左隣から、1回目のベッティング(ドロー前)を行います
- 1回目のドロー:ボタンの左隣から順に、不要なカードを0〜5枚捨てて同じ枚数を引きます。その後に2回目のベッティングです
- 2回目のドローと3回目のベッティングを行います
- 3回目のドローと最終のベッティングを行います
- 残ったプレイヤーが手札を公開し、最強の2-7ローを持つ人と最強のバドゥーギを持つ人がそれぞれポットの半分を獲得します
カード交換は最大3回、ベッティングは合計4回です。ベットのルールはフィックスドリミットで行われることが多いものの、店やゲームによって異なります。
フィックスドリミットの一例
フィックスドリミットでは、ベット額がラウンドごとに決まっています。一例として、ブラインドが1/2のゲームでは次のように進めます。
| ベッティングラウンド | ベット額(ブラインド1/2の例) |
|---|---|
| 1回目(ドロー前)・2回目 | スモールベット(2) |
| 3回目・4回目(最終) | ビッグベット(4) |
- 各ラウンドで、ベット1回とレイズ3回までを上限とするルールがよく使われます
- ドローで捨てる枚数は0〜5枚で、0枚のときは「パット(スタンドパット)」と呼びます
- 最初のベッティングはビッグブラインドの左隣から、以降はボタンの左隣から行動します
- 手札が5枚で、ドローも3回あるため、人数は6人までとするルールが一般的です
2-7ロー側の評価:ストレートとフラッシュは不利
2-7ロー(デュース・トゥ・セブン)は、5枚すべてを使って最も弱い手を目指す評価です。Aは最も高いカードとして扱い、ストレートやフラッシュ、ペアは役として成立するため、不利になります。
- 最強のハンドは7-5-4-3-2(フラッシュにならないスート)で、「ナンバーワン」と呼ばれます
- 強い順に、7-5-4-3-2、7-6-4-3-2、7-6-5-3-2、7-6-5-4-2、8-5-4-3-2と続きます
- ペアやスリーカードなどの組み合わせは強い役として扱われ、ローでは不利です
- 2-3-4-5-6のようなストレートは弱い手として扱われます
- 同じスートの5枚(フラッシュ)も弱い手になります
- A-2-3-4-5はストレートにならず、Aが高いカードなので「Aハイ」の弱い手です
- 役のない手同士なら、一番高いカードから順に比べ、低い方が勝ちます
通常のポーカーの役の序列はポーカー役一覧にまとめています。2-7ローではその序列を逆さに使い、役のない低い5枚が最強になります。
バドゥーギ側の評価:Aは高く、5枚から最良の4枚を選ぶ
バドゥーギ側では、5枚の中から、スートもランクも重ならない最良の組み合わせを選びます。通常のバドゥーギとは違い、バデューシーではAを最も高いカードとして扱います。ストレートやフラッシュ、ペアは役になりません。
- 4枚ハンド(バドゥーギ)が最強で、次に3枚、2枚、1枚の順です
- Aが高いため、最強のハンドはスートがすべて別の2-3-4-5です
- 枚数が同じなら、一番高いカードから順に比べ、低い方が勝ちます
- スートもランクも重ならない4枚が揃っていない手は「未完成(インコンプリート)」で、3枚のものは3枚ハンド(トライハンド)と呼ばれます
5枚の手札に対して4つのスートしかないため、必ずどれかのスートが2枚以上重なり、バドゥーギ側で使えるのは最大でも4枚です。5枚目のカードは、バドゥーギとしては捨て札の扱いになります。通常のバドゥーギの評価のしかたはバドゥーギのルールで確認できます。
同じ5枚を2通りで評価する:ハンド例
同じ5枚でも、2つの評価では強さがまったく違ってきます。代表的な手札を見てみましょう。
例1:2♠ 3♥ 4♦ 5♣ 7♠(両方でナッツ)





- 2-7ロー側:6が抜けているのでストレートにならず、スートも揃っていません。7-5-4-3-2のナッツです
- バドゥーギ側:7♠と2♠が同じスートなので、7♠を外し、2♠3♥4♦5♣の5-4-3-2(最強の4枚ハンド)になります。スクープ確実の形です
例2:2♠ 3♥ 4♦ 5♣ 5♠(バドゥーギだけ強い手)





- 2-7ロー側:5のペアがあるので弱い手です
- バドゥーギ側:5♠を外すと、2♠3♥4♦5♣の5-4-3-2(最強の4枚ハンド)です
例3:A♠ 2♥ 3♦ 4♣ 9♠(Aが足を引っ張る手)





- 2-7ロー側:Aは最も高いカードなので、A-9-4-3-2のAハイになり弱い手です
- バドゥーギ側:A♠と9♠が同じスートです。Aが高いので、A♠を外した9-high(9♠2♥3♦4♣)が最良の4枚ハンドで、強くない手です
例4:2♠ 3♥ 4♦ 5♣ 6♠(ストレートで片方が弱い手)





- 2-7ロー側:2-3-4-5-6のストレートが成立するので弱い手です
- バドゥーギ側:6♠を外せば、2♠3♥4♦5♣の5-4-3-2(4枚ハンド)が残ります
例5:2♠ 3♠ 4♠ 5♦ 7♣(2-7ローだけ強い手)





- 2-7ロー側:スペードが3枚あってもフラッシュにはならず、7-5-4-3-2のナッツです
- バドゥーギ側:スペードの2・3・4は1枚しか使えないので、2♠5♦7♣の7-5-2(3枚ハンド)になります
例6:2♠ 3♠ 4♠ 5♠ 7♠(両方で弱い手)





- 2-7ロー側:5枚すべてがスペードのフラッシュなので弱い手です
- バドゥーギ側:同じスートのため使えるのは1枚だけで、2の1枚ハンドになります
低いカードを揃えるだけでなく、「スートを4種類に散らす」「ストレートとペアを避ける」という2点が、両方の評価で強い手を作る条件です。どちらの評価でもAは高いカードなので、Aは基本的に不要です。
ポットの分け方:スクープと引き分け
ショーダウンでは、ポットを2つに分けて勝者を決めます。
| ポットの半分 | 獲得する人 | 評価の基準 |
|---|---|---|
| 前半分 | 最強の2-7ローを持つ人 | 5枚すべてを使い、Aは高い。ストレート・フラッシュ・ペアは不利 |
| 後半分 | 最強のバドゥーギを持つ人 | 5枚から最良の4枚を選び、Aは高い。スートとランクの重なりは使えない |
同じプレイヤーが両方で勝てば、ポット全体を獲得するスクープです。片方の半分にだけ勝った場合は、ポットの半分しか受け取れません。ショーダウンでは手札をすべて公開し、言い間違えがあっても手札の内容が優先されます(カーズ・スピーク)。
同点のときは、その半分を同点のプレイヤーで分けます。たとえば2人が同じバドゥーギを持っていれば、バドゥーギの半分をさらに2等分します。他のプレイヤーと半分を分け合って、全体の4分の1しか受け取れないケース(クォーター)もあります。端数のチップの扱いは店やホームゲームのルールで決まっており、2-7ロー側に回すという取り決めもあります。
配られた5枚の確率:バドゥーギ側と2-7ナッツ
最初に配られる5枚から作れるバドゥーギの枚数を、52枚から5枚を選ぶ2,598,960通りをすべて数え上げて計算しました。
| バドゥーギ側で成立するハンド | 組み合わせ数 | 確率 |
|---|---|---|
| 4枚ハンド(バドゥーギ) | 514,800通り | 約19.81% |
| 3枚ハンド | 1,647,360通り | 約63.39% |
| 2枚ハンド | 431,652通り | 約16.61% |
| 1枚ハンド | 5,148通り | 約0.20% |
4枚ハンドで始まる確率は約2割で、4枚の手札から始まるバドゥーギの約6%よりかなり高くなります。5枚のうち不要な1枚を捨てられるためです。
一方、2-7ローのナッツである2-3-4-5-7(同じスートの5枚を除く)は1,020通りで、約2,548分の1です。このうち、5枚が4種類のスートすべてを含み、バドゥーギ側も最強の2-3-4-5になる「スクープ確実の形」は240通り(約10,829分の1)しかありません。最初から両方でナッツの手が配られることは、ほとんど期待できません。だからこそ、ドローで形を整える判断が重要になります。
両取りを狙う手札の形と基本戦略
以下は一般的な考え方に、本記事の計算を加えた目安です。ソルバーで厳密に解かれた最適解ではありません。バデューシーの戦略については、参考文献に挙げた解説記事も参照してください。
両取りに向く手札の形
2つの評価が重なるのは、2〜7の低いカードで、スートが4種類に分かれている手札です。
| 手札の特徴 | 2-7ロー側 | バドゥーギ側 | 方針 |
|---|---|---|---|
| 2〜7の低いカードで、スートが4種類に分かれる | 強い | 強い | 両取り(スクープ)を狙う基本形 |
| Aを含む手 | Aが最も高いので弱い | Aが最も高いので弱い | 基本的にAは交換する |
| 2-3-4-5に6を加えた手 | ストレートで弱い | 5-4-3-2が残る | 6を替えてストレートを崩す |
| 2-3-4-5に5をもう1枚加えた手(ペア入り) | ペアで弱い | 5-4-3-2の最強ハンド | バドゥーギ側の半分は有力。ペアを替えて両取りも狙える |
| 同じスートが3枚以上 | フラッシュに近づき不利 | 使えるカードが減る | スートを散らすように交換する |
5枚配りだからこそ、完成したバドゥーギの基準が上がる
バデューシーは5枚が配られるため、4枚のバドゥーギは約2割で最初から完成しています。さらに、3枚ハンドから2枚を引いて完成させることもできます。ショーダウンまで残るバドゥーギは、4枚のバドゥーギより強くなりやすいので、高いカードのバドゥーギを守る意味は薄れます。
参考文献では、10-high以上のバドゥーギは手放すべきで、9-highも基本的に交換候補とされています。理由として、高いカードを残すと、2-7ロー側もそのカードで頭打ちになることが挙げられています。また、目標は5枚で8ハイのローと7ハイのバドゥーギを両立させることとされています。
2枚ドローの確率:具体例
実戦で多いのは、スートも数字も重ならない低い3枚を持ち、2枚を引いて形を整える場面です。
2♠ 3♥ 5♦ から2枚を引く
4枚目に足りないスートはクラブです。残りの2枚を引き替えます。



- バドゥーギが完成するクラブ:A・4・6・7・8・9・10・J・Q・Kの10枚。残り47枚から2枚を引いて1枚以上当たる確率は、1 - C(37,2)÷C(47,2) ≒ 約38%
- 8-high以下のバドゥーギになるクラブ:4・6・7・8の4枚。確率は1 - C(43,2)÷C(47,2) ≒ 約16%
バドゥーギ側の完成だけを見た単純計算で、2-7ロー側の強さや、他のプレイヤーの手札、自分が捨てたカードは考慮していません。
バドゥーギを完成させるだけなら約4割、強いバドゥーギになるのは約2割に届きません。バドゥーギ側だけでなく、2-7ロー側の強さも見ながら交換する必要があります。
キープする価値のある低いカード
- バドゥーギに使えなくても、2-7ロー側で価値の高い低いカード:2・3・4・5のような低いカードは、スートが重なっていても残す価値があります
- 8のカード:2-7ロー側では頭打ちになりやすく、人数が多いポットでは手放す場面が増えます
- 強いバドゥーギを作れたとき:バリューを取りつつ、相手のドローを遮るためにもベットとレイズを行います。バドゥーギで負けていても、2-7ロー側で勝てる可能性が残ります
ポジションによる参加範囲
スプリットゲームでは、勝てるのが半分に限られる場面も多いので、早いポジションは絞り、遅いポジションで広げるのが基本です。具体的な参加範囲の割合や代表的なハンドは、参考文献にポジション別の目安が載っています。遅いポジションほど、相手の交換枚数を見てから行動できるため、広く参加しやすくなります。
片方しか取れないときのベット判断
片方の半分だけを狙う手では、勝っても受け取れるのはポットの半分です。ベット額がポットに対して大きくなるほど、必要な勝率は高くなります。ポットに対するコール額の考え方はポットオッズの基本で解説しています。相手がスタンドパット(0枚交換)しているときは、どちらの半分を持っているかを読んでから判断します。
バドゥーギ・2-7トリプルドローとの違い
バデューシーは、バドゥーギと2-7トリプルドローを1つのゲームにまとめたものです。違いを表で整理します。
| ゲーム | 手札の枚数 | 勝者の決め方 | Aの扱い |
|---|---|---|---|
| バドゥーギ | 4枚 | 最良のバドゥーギを持つ1人がポット全体を獲得 | 最も低い(A-2-3-4が最強) |
| 2-7トリプルドロー | 5枚 | 最強の2-7ローを持つ1人がポット全体を獲得 | 最も高い |
| バデューシー | 5枚 | 2-7ローとバドゥーギで、ポットを半分ずつ獲得 | どちらの評価でも最も高い(バドゥーギ側の最強は2-3-4-5) |
ドローポーカー全般の違いはドローポーカーとテキサスホールデムの違いでも整理しています。
バデューシーはどこで遊べる?
バデューシーは、ミックスゲームの種目として遊ばれることが多いゲームです。ドロー系のゲームを含むミックスのローテーションには、ほぼ必ず入るほど人気があると紹介されています。テキサスホールデムのようにキャッシュゲームで常設される定番ではなく、ミックスゲームやホームゲームで遊ぶ機会が中心です。
ルールの習得を順に進めるなら、まず5カードドローでドローの流れに慣れ、バドゥーギでスートと重なりの評価を覚え、最後にバデューシーで2つを組み合わせる順番がわかりやすいです。
よくある質問
「バデューシー」で検索する人がよく気になる疑問をまとめました。
バデューシーとは何ですか?
バデューシー(Badeucey)は、5枚の手札を2-7ローとバドゥーギの両方で評価し、ポットを半分ずつ分けるドローポーカーです。ベストの2-7ローを持つ人がポットの半分、ベストのバドゥーギを持つ人が残りの半分を獲得します。
バデューシーのポットはどう分けますか?
ポットを2つに分け、片方を2-7ローで最も強いハンドの持ち主、もう片方をバドゥーギで最も強いハンドの持ち主が獲得します。同じプレイヤーが両方で勝てば、ポット全体を獲得するスクープになります。
バデューシーでAは高いカードですか、低いカードですか?
2-7ロー側でもバドゥーギ側でも、Aは最も高いカードとして扱われます。通常のバドゥーギではAが低いカードですが、バデューシーのバドゥーギ側では最強のハンドがA-2-3-4ではなく2-3-4-5(スートはすべて別)になります。
バデューシーで2-7ローとバドゥーギの両方を取れるハンドはありますか?
あります。2-7ローの最強ハンドは2-3-4-5-7(フラッシュにならないもの)で、5枚のスートが4種類揃っていれば、バドゥーギ側も最強の2-3-4-5(5-4-3-2)の4枚ハンドになります。この形ならポット全体を獲得するスクープの本命です。ただし実際に配られる確率は約10,829分の1と非常に低い手です。
バデューシーでカードを交換できるのは何回ですか?
一般的なルールでは、2-7トリプルドローと同じく最大3回です。ドローのたびに0〜5枚を捨てて同じ枚数を引き、ベッティングはドロー前を含めて合計4回行います。
バデューシーとバドゥーギは同じゲームですか?
別のゲームです。バドゥーギは4枚の手札だけで勝敗を決め、Aは低いカードとして扱います。バデューシーは5枚の手札をバドゥーギと2-7ローの両方で評価し、ポットを2つに分け、どちらの評価でもAは高いカードです。
まとめ
- バデューシーは、5枚の手札を2-7ローとバドゥーギで評価し、ポットを半分ずつ分けるドローポーカーです
- 2-7ロー側でもバドゥーギ側でも、Aは最も高いカードです(通常のバドゥーギとは違います)
- 2-7ロー側はストレート・フラッシュ・ペアが不利、バドゥーギ側はスートとランクの重なりが使えません
- 両方で勝つとスクープ、片方だけならポットの半分を獲得します
- 両取りを狙う基本形は、2〜7の低いカードでスートが4種類に分かれた手札で、2-3-4-5-7は両方でナッツです
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参考文献
- Badeucey Rules and Basic Strategy - CountingOuts.com:Aの扱い、戦略の考え方、ポジション別の参加範囲
- 配られる5枚の確率、スクープの形の組み合わせ数、2枚ドローの確率は、本記事で全列挙または組み合わせの計算により求めています


