この記事の目的
テキサスホールデムのHUD(トラッキングソフトの表示)でよく見る「全体/性格」寄りのスタッツを、意味と集計(母数/機会)から理解するためのページです。
このページで扱う指標は、アプリで実装されているスタッツ名に合わせています。
- 統計グラフの WinRate(bb/100)
WTSD(Went To Showdown)W$SD(Won Money at Showdown)Aggression Factor(AF)Post-Flop Aggression Frequency(AFq など)RFI EP/RFI MP/RFI CO/RFI BTN/RFI SB
重要:スタッツは「定義」と「母数」を先に確認する
同じ略語でもトラッキングソフトごとに、分母(opportunity)の数え方が違うことがあります。
nlh.poker のスタッツ定義・集計の仕様基準は Hold'em Manager 3(HM3) です。本ページでは一般的な読み方とあわせて、HM3 の用語(Raise First In、Fold to Flop CB など)に沿って説明します。他ツール(PokerTracker 等)と数値を直接比較する場合は、定義差に注意してください。
(出典:Hold'em Manager「Stat Definitions」 / PokerTracker「Statistical Reference Guide」 / Poker Copilot「Poker HUD Statistics」)
また、母数が少ないとブレます。特にショーダウン系(WTSD/W$SD)は、十分なハンド数が揃うまで“傾向”として扱うのが安全です。
(出典:Poker Copilot「Poker HUD Statistics」)
bb/100(統計グラフの WinRate)
何を測る?
100ハンドあたりの収支を、ビッグブラインド(bb)で正規化して表した指標です。
ざっくり言うと「長期的に勝てているか(勝率/ウィンレート)」を一つの数字に圧縮したものです。
本アプリでの表示
nlh.poker では、HUD の個別スタッツ名としては出ません。統計ページの収支グラフ直下サマリーに WinRate(実収支の bb/100)と WinRate(EV)(EV 補正済みの bb/100)として表示されます。選択したゲーム種別・期間の累計から算出されます。
計算イメージ
おおむね次の形で計算されます(ツールにより“収支の定義”は差があります)。
bb/100 = (総収支をbb換算) / (総ハンド数 / 100)
PokerTrackerの統計リファレンスには、同様の指標として $/100(Money Won per 100 Hands)が示されています。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
注意:BB/100 と bb/100 の表記ゆれ
一部ツール/資料では BB を「Big Bet(ビッグベット = BB = 2bb)」として使うことがあります(特にリミット系の文脈)。
本アプリの WinRate は bb(ビッグブラインド) 単位です(BB ではありません)。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」Glossary “BB”)
WTSD(Went To Showdown)
何を測る?
ショーダウンに到達した割合を測る指標です。
PokerTrackerの定義では、WTSD は
「フロップを見た後にショーダウンへ到達した割合」です。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
典型的な集計イメージ
WTSD% = (ショーダウン到達回数) / (フロップ到達回数) * 100
HM3 の Went to Showdown も、フロップを見た後にショーダウンへ到達した割合として定義されます。本アプリも同様に、分母はフロップ到達回数です(プリフロップでフォールドしたハンドは分母に含めません)。
(出典:Hold'em Manager「Stat Definitions」)
ショーダウン到達の判定
「ショーダウンに到達したか」は、リバーでアクションがあったかではなく、ハンド終了時点でフォールドしていないプレイヤーが2人以上残っているかで判定しています。
これによって、フロップやターンで全員オールインしてリバーにアクションが発生しないハンドでも、コミュニティカードは配られて実際にショーダウンするため、正しくWTSDとしてカウントされます。
ざっくり読み方
- WTSDが高い:降りにくい/コール寄り(ただし強い手でよく続行しているだけの可能性もある)
- WTSDが低い:降りやすい/フォールド寄り(ただしブラフで勝ってSDに行かない勝ち方をしている可能性もある)
WTSD単体では結論を出しにくいので、次の W$SD(Won Money at Showdown)とセットで見るのが定番です。
W$SD(Won Money at Showdown)
何を測る?
**ショーダウンに行ったハンドのうち、どれくらい“お金を勝ったか”**を測る指標です。
PokerTrackerの定義では、W$SD は
「ショーダウン時にお金を勝った割合(スプリットで“賭けた額より少なく勝った”ケースも含む)」です。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
典型的な集計イメージ
W$SD% = (ショーダウンで勝った回数) / (ショーダウン到達回数) * 100
本アプリでの集計方法
本アプリでは、分母を「Heroがショーダウンに到達したハンド数」、分子を「そのうちHeroがポットを獲得したハンド数」としています。
W$SD% = (ショーダウンで勝った回数) / (Heroがショーダウンに到達した回数) * 100
ざっくり読み方(WTSDとセット)
- WTSDが高く、W$SDが低い:ショーダウンに行きすぎ/弱い手でコールしすぎの疑い(いわゆる“コーリングステーション”寄り)
- WTSDが低く、W$SDが高い:強いところだけショーダウンに行っている/ショーダウン回避が多い(= マージナルを降りすぎている可能性も)
Aggression Factor と Post-Flop Aggression Frequency(アグレッション系)
アグレッション系は大きく2系統あります。
- Aggression Factor(AF):
(ベット+レイズ) / コール - Aggression Frequency(AFq):
(ベット+レイズ) / (ベット+レイズ+コール+フォールド)を % 化
PokerTrackerの統計リファレンスは、この2つを AF / AFq として定義しています。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
Aggression Factor(AF)
何を測る?
ポストフロップ(または特定ストリート)で、攻撃(ベット/レイズ)と受け(コール)の比率を表します。
PokerTrackerの定義(Total AF)は次のとおりです。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
AF = (Total Bets + Total Raises) / (Total Calls)
注意:AFは“コールが少ない”と暴れやすい
分母がコールだけなので、コール回数が少ないプレイヤーはAFが極端に大きくなったり、サンプルが小さいとブレやすいです。
目安の読み方と「2以下ならプレイを見直す」という実践ガイドは、AF(アグレッションファクター)とは? を参照してください。
Post-Flop Aggression Frequency(AFq)
何を測る?
ポストフロップで、意思決定(ベット/レイズ/コール/フォールド)のうち、どれくらい攻撃を選ぶかを表します。
PokerTrackerの定義(Total AFq)は次のとおりです。
(出典:PokerTracker「Statistical Reference Guide」)
AFq = (Total Bets + Total Raises) / (Total Bets + Total Raises + Total Calls + Total Folds) * 100
AFとAFqの使い分け(感覚)
- AF:ベット/レイズが「コールに対して」どれくらい多いか(比率)
- AFq:意思決定のうち「どれくらい攻撃を選ぶか」(割合)
AFqの方が、コールが少ないプレイヤーでも比較的“数字として”安定しやすい、という利点があります(ただしこちらも母数依存です)。
RFI:RFI EP / RFI MP / RFI CO / RFI BTN / RFI SB
RFIとは?
RFI(Raised First In)は、誰も参加していない(未オープンの)状況で、最初にレイズしてポットをオープンした割合です。
HM3 では Raise First In(RFI)として、
「未オープンのポットで最初にレイズした割合」(3-bet やリンプへの iso raise は含まない)と説明されています。
(出典:Hold'em Manager「Stat Definitions」— Unopened Preflop / Raise First)
典型的な集計イメージ
RFI% = (First Inでレイズ) / (ポットをオープンできる機会) * 100
「オープンできる機会」は、典型的には次のような状況です。
- 自分より前が全員フォールド(= リンプ/レイズが入っていない)
- 自分がフォールド/コール/レイズを選べる(= 自分の番が回ってくる)
ポジション別RFI(6-max想定の読み替え)
本アプリのキーは、6-maxでよく使う並び(EP→MP→CO→BTN→SB)に合わせています。
RFI EP:EP(Early Position)= 先頭付近(6-maxならUTG相当)RFI MP:MP(Middle Position)RFI CO:CO(Cutoff)RFI BTN:BTN(Button)RFI SB:SB(Small Blind:フォールドで回ってきたときの“SBオープン”)
ざっくり読み方
一般に、ポジションが良くなるほど(後ろになるほど)RFIは上がります。
RFI EP<RFI MP<RFI CO<RFI BTN(になりやすい)RFI SBは「相手がBBだけ」のため広くなりやすい一方で、OOPである点もあるのでテーブル環境でブレやすい
RFIはPFR(プリフロップで何らかのレイズをした割合)と違い、3ベット/4ベットなどの“再レイズ”を混ぜないため、プリフロップのレンジ設計や相手分析の入口として使いやすい指標です。
本アプリでの集計方法(RFI)
本アプリでは、HM3 の Raise First In(RFI)に合わせて集計しています。
分母と分子
| スタッツ | 分母(機会) | 分子(該当条件) |
|---|---|---|
RFI EP | HeroがUTGかつ未オープンで First In できる機会 | Heroが最初のレイズを行った(それ以前にcall/raiseなし) |
RFI MP | HeroがMPかつ未オープン機会 | 同上 |
RFI CO | HeroがCOかつ未オープン機会 | 同上 |
RFI BTN | HeroがBTNかつ未オープン機会 | 同上 |
RFI SB | HeroがSBかつ未オープン機会 | 同上 |
BBは対象外: BBはブラインドを強制的に支払っているため、RFIの対象に含めません。
未オープン機会: Hero の最初のアクション以前に、他プレイヤーの call / raise が無いハンドのみ分母に含めます。オープンやリンプの後に fold した手は分母に入りません(HM3 の Raise First In と同義)。
リンプ後の除外: 自分のレイズ以前にcall(リンプ)が入っている場合、そのレイズはオープンレイズ(RFI)として扱いません。
まとめ(読み方のコツ)
- 統計グラフの WinRate(bb/100)は“勝てているか”の要約。ただし分散が大きいので、短期の上下は前提として受け入れる。
WTSD(Went To Showdown)とW$SD(Won Money at Showdown)はセットで見る(「ショーダウンに行きすぎ」か「勝率が低い」かを切り分けやすい)。Aggression Factor(AF)は比率でブレやすい。Post-Flop Aggression Frequency(AFq)は「攻撃を選ぶ割合」として比較しやすい。- RFIはポジション別に見ると情報量が増える(EPが低く、BTN/SBが高いのが自然な方向)。
参考文献(参照日:2026-05-19)
- Hold'em Manager: Stat Definitions(HUD スタッツ用語・定義) — 本アプリの仕様基準
- PokerTracker: Statistical Reference Guide (PT3)
- Poker Copilot User Guide: Poker HUD Statistics


